アメリカ兵に人気を博したそのジャケットは後にアメリカ軍の横須賀基地周辺の若者の間で流行し、スカジャンという名で日本中に広まった。
今期1piu1uguale3では50年代のヴィンテージスカジャンを検証し、異なる3種類の図柄を作成。
ヴィンテージスカジャンを当時のままの姿で復元するのは容易いなことではなく、簡単であれば誰もがやっているであろう。
売れる事を前提に創意が加えられ続けた結果、現代のものは本物のスカジャンの原型をとどめていない物さえあり、素材や手法は全く継承されていない。
効率重視のもの作りでは将来的に本物をわかる人間が居なくなってしまうであろう。
スカジャンは日本人が初めて作った洋服であり、日本人が日本の素材で日本で作ってこそ本物のスカジャンだと言える。
この見えない部分にまで拘ることこそが日本の物作りの精神であり、そこに魂が宿るのである。
一切の妥協をせずに理想を追い求める事は腹をくくらねば出来ない事である。
刺繍には当時の横振り刺繍では実現不可能な密度を重視し、コンピューター刺繍機(ジャガード刺繍)を使用することでヴィンテージとは似て非なる立体感を可能としている。
行程として先ずは刺繍の仕上がりの良し悪しが決まるジャガード刺繍機を動かす為のパンチソフトデータを作成。
刺繍の仕上がりのイメージやタッチなどを想定し針の運びを考えデータを作り上げる。
作り上げた刺繍データをジャガード機に入力し、加工する素材に対し相応しい針を選び上糸と下糸のテンションを調節、職人が美しい刺繍の仕上がりを可能としている。
素材にはレーヨンコットンサテンを選定。
縦糸に75Dフィラメントレーヨンを使うことにより光沢と落ち感を出し、横糸には綿20番を打つことで適度なハリ感と落ち感が共存した生地に仕上がっている。
北陸地区で織りから染色まで仕上げているメイドインジャパンクオリティである。
図柄は50年代のスカジャンの中でも人気が高く刺繍の図柄としてだけでなく風水の世界でも縁起のいい物として扱われている双龍を検証し構築。
一般的に「双龍」というと2匹の龍が戦っていると思われる図柄が多いが穏やかな表情に仕上げている。
刺繍色は素材の色によって図柄が引き立つ色使いを施し現代的な仕上がりを見せている。
基本的なデザインはそのままにディテールバランスをミリ単位で再構築することで現代のスカジャンに昇華させている。
これは通常の量産品レベルの効率を考えればあり得ない仕様であるが、効率を度外視した妥協のない物作りを追求するからこそ外せないディテールである。
強度を重視した縫製が施されている平面製図・平面縫製で作られているカジュアルウエアに立体製図・立体縫製の113 originalマニピュレーションを用いることはミシンの特性上非常に難しい。
これを可能にしたのは縫製技術を最大限に生かすパターンと長年の経験と豊富な縫製技術を持つ数少ない職人。
そしてそのすべてを熟知し点と点を線でつなげたヴィンテージから最新モードまでを網羅したデザインによるものである。
機能性だけのカジュアルウエアに最新モードの息吹を吹き込み強さと上品さを兼ね備えた。まさに最強のジャケット< MANIPULATION 113 SOUVENIR >が完成した。
素材
コットン58% レーヨン42%
パーツ1
アクリル90% ウール10%
パーツ2
ポリエステル100%
1PIU1UGUALE3 SOUVENIR JACKET!!